上越タイムスDJ連載 「恋する妙高」第3話 2011/10/25


妙高は小雨が降っています。


今、ミノル クリスさんのFM新潟フィゲロアを聞きながら書いていますが、

クリスさんが、“秋めいてきてなんとなく寂しいとね”おっしゃってます。

秋はやはり物悲しいものでしょうか。

温泉が身にしみる季節になったなと思います。


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先日、このような景色の中、野天風呂へ入りました。

温泉が湧いて出ているところを見て、

言葉にならない躍動を感じました。

神様がいるというか、

地球がすさまじいパワーで迫ってくるというか、

太刀打ちできない大きな命の恵みの中でわたしたちは生きているんだな・・と

お湯につかりながら思いました。





上越タイムスDJ  高木いくの連載 

  「恋する妙高 」  第3話




話しの輪からそっと抜け出し、

誰にも気づかれないようにひっそり夜の温泉に入るのが好きだ。

灯りはつけない。

一面のガラスからベッコウ飴のような月が湯船を照らしている。

そっと湯船に足を入れる。

柔らかく吸いつくようなお湯に体の力がふっと抜ける。

“温泉て地球の体液だね。お母さんのお腹の中みたい”と、誰かが言ったのを思う。

両膝を抱え、わたしはプクプク沈んでゆく。

重力に合わせて回転してゆくのにゆだねる。

今日までの何もかもを忘れてしまいそうになるのに、

覚えていないはずの遠い記憶がよみがりそうになる不思議な感覚が好きだ。

浮上して仰向けに月を見つめる。

全身、月明かりに包まれて、ふいに、涙がこぼれる。

月とふたり・・。

わたしは指をくわえ甘えている。

今、妙高山の稜線を魚の形をした雲がプカプカ泳いでゆく。